新学術領域「先端加速器LHCが切り拓くテラスケールの素粒子物理学 ~真空と時空への新たな挑戦」では、 LHCでのヒッグス粒子や超対称性などの新しい素粒子現象を確実に発見し、これらの素粒子をプローブとして真空や時空の構造を探っていく、従来にない新しい研究です。従来の素粒子中心の研究を大きく拡げて、研究対象を素粒子・真空・時空へと拡大し、宇宙の多様性の起源、初期宇宙と宇宙誕生の謎、時空のコンパクト化や真空の構造、重力の解明、暗黒物質、力の統一、素粒子の世代の解明、超弦理論など多彩な研究テーマにつなげていきます。またこのテラスケールの物理成果の更なる実験的な検証に向けて次世代実験の準備研究も進めていきます。
LHCは、2012年12月に重心系エネルギー7TeVと8TeVの陽子・陽子衝突実験を完了しました。ATLAS実験では、2011年に√s=7TeVのデータをL=5.3 /fb、2012年に√s=8TeVのデータをL=21.7 /fb 記録しました。これらのデータを用いた解析によって、ATLAS実験は126GeV付近にヒッグス粒子と思われる新しい粒子を発見することに成功しました。
現在、収集した27fb-1全データの解析を進めているところで5月のLHCPにはその全容が明らかになると思われます。ヒッグスの詳細な研究成果、超対称性粒子探索や、他の新粒子探索、標準理論の精密検証など、多彩な成果が期待されております。
また、LHCは2015年より衝突エネルギーを13-14TeVに倍増し、超対称性をはじめとする新粒子探索やVector Boson Fusion過程によるヒッグスの詳細な研究など新しい局面の展開が期待されています。
さらに、2020年以降のHigh Luminosity LHC実験の実現にむけて、加速器・検出器開発の
イノベーションにむけた研究がはじまりつつあります。
2011年より発足した新学術領域「先端加速器LHCが切り拓くテラスケールの素粒子物理学 ~真空と時空への新たな挑戦」は、このLHC・ATLAS実験でのヒッグス粒子や超対称性などの新しい素粒子現象を核に真空や時空の構造を探っていく新しい研究領域です。本領域が主催して、
(1) 7-8TeV のLHC(ATLAS+CMS)の最新の実験成果の総括
(2) それをうけて、14TeVLHC実験の準備研究と素粒子研究のその後の展開
(3) LHCアップグレードに向けて 加速器・検出器開発
研究会を開催します。最新のLHCの研究成果を紹介し、これを議論し新しい研究の方向を実験・理論共同で展開して行きます。
新学術領域研究
先端加速器LHCが切り拓くテラスケールの素粒子物理学
〜真空と時空への新たな挑戦〜
研究会