今年度の成果は以下のとおりである。
- γd → K-K+X反応について、従来より2.6倍高統計のデータの解析が終了した。(γ, K-)反応の欠損質量スペクトルからΘ+を示唆するピーク構造は再確認されたがピークの統計的有意性は下がった。しかしながら、スペクトル中にはΘ生成に関与しない、重水素(d)中の陽子(p)と反応した事象が相当数含まれることがわかった。トリガー用シンチレーションカウンターの波高の情報を用いてこうした反応を除去するとピークが顕著になることが発見された(図1)。pと反応した事象を除去する効率を上げる改良を施し、Θについてさらなるデータ収集を行う。
- 米国ブルックヘイブン国立研究所(BNL)のK中間子稀崩壊実験用検出器(E949検出器)移送を完了し、検出器の組み立てを行った(図2)。LEPS2実験施設にビームが初めて通り、ビームコミッショニングが行われ、γ線検出器とTOF検出器による最初の実験が開始された。
- J-PARCにおけるK中間子ビームを用いたΛ(1405)分光実験の準備がほぼ整い、実験実施可能段階(Stage-2)であると認定された。さらに、ハドロンビームを用いたハドロン物理研究の展開として、チャームバリオンに関する新しい実験研究を提案した。
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