計画研究C01・平成24年度の研究の進捗と成果


(図1)HBDの量産型1号機。 (図2)読み出しパッド小型化(10mm x 10mm)によるHBDのパイオン棄却能力の向上。

J-PARC 原子核素粒子実験施設において物理採択された実験E16およびGEM電子検出器や読み出し回路の開発状況について17件(うち招待講演11件) の国際会議・学会発表を行った。
GEM電子検出器のうち、前段となるGEMトラッカー100mm角量産型のビームテストでは新開発の小型プリアンプボードを用いて位置分解能をさらに向上することができた。また、後段となる鉛ガラスカロリメータのビームテストでは、目標であるパイオン誤認率10%を達成できることを確認した。
一方、中段になるHBD(ハドロンブラインド検出器)の量産一号機について、J-PARCにおいてハドロンビーム環境でのテストを行ったところ、GEMトラッカーではみられなかった、放電による破壊がおきやすいことがわかった。前段・中段ともにGEMが使用されているが、仕様と使用条件が全く異なる。GEMトラッカーはAr:CO2混合ガスで50μm厚PI製GEMを3段であるが、HBDはCF4ガスで100μm厚LCP製GEMを2段である。このため、HBD向けGEMの量産を保留した。次に行った100mm角PI製50μm厚GEM3段を用いたHBDの同環境でのテストおよび理研AVFサイクロトロン室における300mm角同GEM3段の高バックグラウンドテストにより、放電問題がないことを確認し、HBDの仕様変更を決定した。また、HBD読み出し基板のパッドをチェレンコフ光の分布サイズより小さく(10mm x 10mm)して、光子分布範囲(cluster size)を解析に用いることで、パイオン棄却能力が向上することをビームテストにより実証した。読み出し回路については、上述プリアンプの他、鉛ガラス用ADCモジュールの試作とトリガーロジックボードのテストを行った。

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Last updated 2014 Aug. 21st