計画研究E01・平成24年度の研究の進捗と成果


(図1) 上図:Dirac射影演算子のスペクトル関数。横軸は固有値を表す。 下図:クォークポテンシャルの値。横軸はクォーク間の距離を表す。青丸は、上図の白色で示されたモードを除き、赤色で示されたモードのみを含んだ場合のポテンシャルを表す。赤四角は、全てのモードを含んだ場合のポテンシャルを表す。 (S.Gongyo, T.Iritani and H.Suganuma, Phys. Rev. D 86, 034510 から抜粋。) (図2)X(3872)の成分比。横軸はモデルパラメータを表す。 実線が cc^bar core の比率、一点鎖線がD D* のアイソスピン0状態の比率、二点鎖線が D D* のアイソスピン1状態の比率を表す。 (M.Takizawa and S.Takeuchi, PTEP 2013, 0903D01. から抜粋。)

今年度の研究成果を以下にまとめる。
  1. 格子QCD計算でディラック演算子の固有モード(ディラック・モード)と閉じ込めポテンシャルやZ3センター対称性の関係を調べ、ディラック・モードの赤外領域は閉じ込めにほとんど寄与せず、カイラル対称性の破れとクォーク閉じ込めが一対一には対応しないことを示した(図1)。
  2. X(3872)をccbar coreとDD*メソン分子の混合であるという描像でこれまでに実験結果から得た知見をおおむね説明できる可能性を示した(図2)。
  3. D1(2430) → D 崩壊過程におけるσメソンの効果を検討するなど有効模型による解析を進めた。
  4. 陽子のチャーム構造関数への高次QCD補正の見積もり、Belleデータによるメソン・バリオン・グルーオン破砕関数の決定など、硬散乱過程におけるQCD理論研究を推進した。
  5. Zb(10610)±およびZb(10650)±粒子について、B(*)B*メソン分子の描像で重いクォーク対称性にもとづいて未発見の崩壊モードやパートナー状態の有無についての検討を行った。

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Last updated 2014 Aug. 23rd