計画研究E01・平成25年度の研究の進捗と成果


(図1) X(3872)の構成成分の波動関数。横軸は中心からの距離を表す。 (S.Takeuchi, K.Shimizu and M.Takizawa, arXiv:1408.0973 から抜粋。) (図2) Zb共鳴を B B* 分子状態とした場合の生成と崩壊に対する選択則 (S.Ohkoda, Y.Yamaguchi, S.Yasui and A.Hosaka, Phys. Rev. D 86, 117502の要約。) (図3) 核子の有効質量の密度依存性のスキルムクリスタル模型の結果。横軸は核子間の距離を表す。 (Y.-L.Ma, M.Harada, H.K.Lee, Y.Oh, B.-Y.Park, M.Rho, Phys. Rev. D 90, 034015 から抜粋。)

重いクォークを含む系で顕著になるハドロンの分子構造の出現機構と、データとの比較において最も重要な成果を得ることができた。以下、具体的な成果の例を挙げる。
  1. X(3872)に対して、D中間子の分子状態にccbarクォーコニウムが少し混合することで、質量や崩壊の性質を説明することができた。敷居近傍のためアイソスピン破れの効果が重要性となることを示した(竹内, 図1)。
  2. 重いクォークを含むエキゾチックハドロン系の理論研究では、Belleで発見されたZb粒子を2個のB中間子の分子状態として記述することで、質量と崩壊の性質を説明することができた。また未知の粒子の存在を予言するとともに、崩壊パターンに重いクォーク対称性が現れる機構を示した(保坂,図2)。
  3. 隠れた局所対称性」模型を使って、核物質の相変化と、核子の質量変化を調べた。半スキルミオン相の特徴を明らかにした(原田,図3)
  4. 格子QCDにより、カイラル対称性の破れが真空の低エネルギー領域の性質に依存する一方、閉じ込めポテンシャルは低エネルギーモードには依存しないことを示した。数値的に示すとともに、解析的にも示すことができた(菅沼)。
  5. 重いクォークの極限で見られる縮退の性質を明らかにし、重いハドロンの分子状態に適用した。2体系のみならず3体系においても縮退が見られること、そのパターンを明らかにした(保坂)。
  6. 高エネルギー反応のクォークカウンティング則により、粒子のエキゾチックな性質を調べる方法を提案した(森松/熊野)。

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Last updated 2014 Aug. 23rd