τ(タウ)粒子とは

基本情報

質量1776.84±0.17 MeV
電荷1(素電荷を単位として)
スピン1/2
主な崩壊μντνμ, eντνe, ハドロン+ντ
発見年1975年
発見者Perl
発見した実験SPEAR 電子陽電子衝突型加速器 @ スタンフォード線形加速器センター

歴史

1975年、Perl のグループから"Evidence for Anomalous Lepton Production in e+e- Annihilation(e+e-消滅事象における異常レプトン生成の証拠)"という題で スタンフォード線形加速器センター の SPEAR 電子陽電子衝突型加速器を用いた実験から 「電子(陽電子)、反μ粒子(μ粒子)と2個以上の測定にかからない粒子」 の生成事象が 64 事象報告されました。

このような事象は当時の素粒子模型像ではあり得ないもので、 本論文では電子(μ粒子)+電子ニュートリノ(μニュートリノ) + ニュートリノへと崩壊できる 第三の荷電レプトンの存在が提案されました。 この新しく提唱された荷電レプトンが、現在知られているτ粒子です。 そして、本論文で取り上げている現象を現代の知識で表せば、電子陽電子対消滅からのτ対生成崩壊事象 e+e- → ττ → μe ντντνμνe です。

また本現象は重心系エネルギーが 4GeV 以上の領域でみられると報告しています。 これは未知の新粒子がペアで生まれているとすると一つの質量は 2GeV 程度だと示唆するもので、 τ粒子の質量が1.78GeV だと知っている現代の視点で見て、納得の結果です。

講釈

素粒子標準模型での位置づけ

τ粒子は、素粒子標準模型に現れる素粒子の一つです。 標準模型においてレプトンは、電荷を持った荷電レプトンとニュートリノのペア3つで構成されており、 荷電レプトンの質量の軽い順に電子・電子ニュートリノ対の第一世代、μ(ミュー)粒子・ミューニュートリノ 対の第二世代、そしてτ粒子とτニュートリノ対を第三世代と呼びます。

τ粒子の研究

まずτ粒子はレプトンであり、強い相互作用をしません。 そのため強い相互作用に特徴的なハドロンを大量に含む複雑な事象が入ってこず、 τ粒子の生成や崩壊はとても「クリーン」なものになります。 τ粒子の崩壊事象をに着目することで、 τからWボソンを経由して生成されるハドロン粒子の性質をきれいな状態で調べることができます。 ちなみに、τ粒子はハドロンに崩壊するのに十分な質量を持った唯一のレプトンです。

また、τ粒子は荷電ヒッグス粒子の探索にも有効です。 素粒子標準模型の範囲ではタウ粒子の崩壊は W ボソンを介したものです。 荷電ヒッグスが存在するとすると、荷電ヒッグスがこのτ粒子の崩壊過程に影響を持ち、 標準模型の予言値からずれが生じることになります。 このずれがあるのではないかと、精密に測定することが新物理探索の一つになります。

N 研究室ではBelle 検出器で収集したデータを用い、これらτレプトンの特徴に注目した研究を進めています。


Last-modified: 2010-09-25 (土) 19:54:29 (2636d)