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Υの性質

質量9460.30±0.26 MeV (1S)
電荷0
スピン1
平均寿命約1 x 10-20 秒 (1S)
相互作用強い相互作用、弱い相互作用
主な崩壊レプトン対(e+e-+μ-+τ-それぞれに約2.5%ずつ) (1S)
発見年1977年
発見者レオン・レダーマン

発見の歴史

1973年、クォークは3世代6種類が存在するという、有名な「小林・益川理論」が提唱されました。当時見つかっていたクォークは3種類だけでしたが、その翌年にはcクォークが見つかり(これ自体は小林・益川理論以前の1970年にシェルドン・グラショウ、ジョン・イリオポロス、ルチャーノ・マイアーニにより存在が予測されていました)、1977年にこのbクォークが見つかりました。なお、6種類目のクォークであるtクォークは、その非常に重い質量のため発見まで約20年かかり、1995年にようやく見つかっています。

BファクトリーとΥ中間子

Υ中間子はbクォークと反bクォークからなる「ボトモニウム」(bクォークと反bクォークが原子のように束縛し合っているもの)という状態の一種であり、それぞれがS状態(すなわち軌道角運動量l=0の状態)で結合したものです。その励起状態により、Υ(1S)、Υ(2S) …などがあります。 Bファクトリーでは、電子・陽電子の重心系エネルギーがΥ(4S)の質量に等しい10.58[GeV]となるように、電子と陽電子のエネルギーを調節しています(それぞれ8[GeV]、3.5[GeV])。このΥ(4S)は96%以上がB中間子と反B中間子の対に崩壊します。このように大量のB中間子を作っていることがBファクトリーという名の所以であり、このB中間子はCP対称性の破れが比較的大きいため、BファクトリーではこのCP対称性の破れを観測しています。

エピソード

余談ですが、レダーマンはΥ中間子の発見の3年前に、cクォーク(J/ψ中間子)の発見に失敗しています。彼はこのときにバートン・リヒターやサミュエル・ティンらよりも先にJ/ψ中間子に相当するピークを見つけていましたが、背景がたまたまピークに見えたのだろうと思い、見逃してしまいました。そして、直後に前述の二人が相次いでJ/ψ粒子(cクォークと反cクォークでできた中間子)発見しました。このことを大変悔しがったレダーマンは、そのときの反省から、その後入念な精査によってクォーク(Υ中間子)の発見をしたと伝えられています。


Last-modified: 2010-07-04 (日) 21:36:42 (2719d)