名古屋大学N研ATLASグループ

LHC ATLAS 実験グループから公開されている研究結果をお知らせします.

名古屋大学のメンバーが貢献する研究結果

名古屋大学 LHC-ATLAS チームが貢献する研究成果で、 ATLAS 実験の公式な結果として発表されたものをご紹介します.

トップクォーク崩壊中における W ボソン偏極度の測定 (2011年8月発表)

limit.png

圧倒的な質量を持つトップクッォークの崩壊事象には素粒子標準模型をこえる物理の寄与が強く現れる事が期待できます。 素粒子標準模型ではトップクォークの崩壊事象(t→Wb)はV-A型の相互作用を通してのみ起こり、 W ボゾンの偏極度もきまります。

本測定では トップクォーク対事象を完全再構成し、 W ボゾンからの荷電レプトンの放出角度分布から、その偏極度測定を行いました。

図は、測定結果から許される新物理のパラメータ領域を示しています。 縦軸/横軸ともに素粒子標準模型にはない相互作用の強さを示す量をとっており、 SMを意味する(0,0) を含んだ結果となりました。

トップクォーク崩壊事象におけるW ボゾンの偏極度測定」 にて解析の詳細を説明しています。

LHC-ATLAS実験グループの公開資料 (英語)

長谷川 (D3)

ミューオンとタウレプトンの終状態を用いたトップクォーク対生成断面積の測定 (2011年8月発表)

top quark decays into tau lepton

LHC-ATLAS実験では、2011年夏までに約17万対のトップクォーク対を生成しました。 これは、先行実験であるTEVATRON(米国)が約10年間で生成したトップクォーク対の実に2.5倍に相当し、実験開始から1年半で既に、名実共に世界最高統計量を武器にした精密測定が可能になりました。

我々名古屋大学のグループでは、高橋悠太君を中心に、終状態にタウ粒子を含むトップクォーク対生成事象 の測定に貢献しています。 これらの結果についても、先日行われた Lepton Photon 国際会議以降、世界に公表されています。

左図は、"ふるい" に最後まで残った事象に関して、 測定されたジェットの数分布です。点がデータ、白いヒストグラムが信号の分布 (予想)、それ以外で示したヒストグラムが "ゴミ"の分布です。我々が信号を確実にとらえていること、また、期待通りジェット数が3のところでピークを持つ事がよくわかります。

生成断面積の測定結果は、142 (中心値) +/- 21 (統計誤差) + 20 / -16 (系統誤差) +/- 5 (ルミノシティー誤差) pb、素粒子標準模型の理論予想 (164.6 +11.4 / -15.7 pb )と、誤差の範囲内で一致する結果を得ています。

LHC-ATLAS実験グループの公開資料 (英語)

高橋 (D3)

ダイレプトン終状態を用いたトップクォーク対生成断面積の測定 (2011年7月発表)

top quark pair production cross section

LHC-ATLAS 実験での2011年のデータ収集は順調に進んでおり、 すでに収集したデータは 2010年の30倍以上に達しています. そのデータ解析が進み、ATLAS からも多くの測定成果が国際会議等で公表されています. 名古屋大学のグループは、奥村恭幸君を中心として、ダイレプトン終状態を用いたトップクォーク生成断面積の測定研究に貢献しています。 本研究結果も ATLAS 実験グループの結果として最新結果として公表されました. 本研究では、検出器応答の正確な理解にもとづき、 高い測定精度での7TeV の陽子陽子衝突におけるトップクォークの生成確率の評価を実現しました. 左図は LHC-ATLAS 実験より公表されている、本研究の最新の実験結果です. 複数の崩壊モード、また複数の手法でデータ解析の結果がまとめてあります. また図中の黄色の帯は標準模型の理論計算による予想値を表しており、 今回の測定結果で、実験・理論の誤差の範囲内で一致することが確かめられました.

ダイレプトン終状態を用いたトップクォーク対生成断面積の測定の解説記事.

LHC-ATLAS実験グループの公開資料 (英語)

奥村 (D3)

そのほかの LHC-ATLAS 実験から公表されている結果

LHC-ATLAS 実験ではそのほかにも、多くの研究成果が公表されています. 以下のリンク先をご参照ください.


Last-modified: 2011-09-07 (水) 11:49:26 (2287d)