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  素粒子物理学は、万物の基本構成要素を追求し、その基本構成要素がどういう運動力学に従って、我々の世界、あるいは、宇宙を作り上げているのか?を探求する学問です。人類は、古くはギリシャ時代の四元素説に代表される哲学として、そして、学問、基礎科学として、その時代の素粒子を、分子、原子、原子核、、、、と理解を深めてきました。

標準模型の素粒子達

  現在、人類は、素粒子として、6種類のクォークと6種類のレプトンの物質構成粒子と、それらの素粒子の間に力を媒介するゲージ粒子を考えています。素粒子の間には、電磁気力、弱い力、強い力、重力の4種の力が働きます。そして、電磁気力を伝えるゲージ粒子が光子、同様に、弱い力を伝えるWボゾンとZボゾン、強い力を伝えるグルーオン、重力を伝えるグラビトンとなります。現在まで人類が実験的に測定した素粒子の大きさは10-18m(=10-16cm、1億分の1センチメートルのさらに1億分の1、つまりむちゃくちゃ小さいです)。これらは、大型加速器によって素粒子同士を衝突させ、100GeV(1000億電子ボルト、1電子ボルトは電子を1ボルトの電場で加速したときのエネルギー)のエネルギー世界を作り出す加速器実験によって達成されました。この極微で高エネルギーな世界は、宇宙がビッグバンによって誕生した後、わずか10-12秒の世界です。こうした現在の素粒子理解を記述する理論を「標準模型」と呼んでいます。標準模型は、1970年代に理論体系は完成し、これまでのほぼ全ての実験による測定結果を予言する能力を持つ完成された理論なのです。

  この標準模型では、上であげた4種の力のうち電磁気力と弱い力の統一(電弱統一)が達成されています。宇宙創成時では、2つの力は元々同じで区別がなく良い対称性が達成されていたのですが、宇宙が広がり冷える過程の中で、相転移(温度が下がって水が氷へと転移するように、ある温度で突然、現象の激変が起こるさま)がおき、対称性が自発的に破れて2つの力に分岐したと、研究者は考えています。この電弱統一では、素粒子が質量を獲得するためにヒッグス粒子が不可欠となります。いわば、ヒッグス粒子は、「標準模型」の核となる粒子なのです。しかしながら、これまで実験的な発見には至っておらず、LHC-ATLAS実験がこれを最初に発見できる実験であると期待されています。

  さらに、素粒子研究者達は、標準模型が記述する100GeV世界よりも高エネルギーな、言い換えると、ビッグバン直後の宇宙初期時代には、電弱強統一、あるいは、電弱強重統一がなされていたと信じています。テラスケール(1TeVのエネルギー世界)という高エネルギー世界における物理の発見こそが、人類永遠の夢である電弱強(重)統一への扉を開くと信じています。そして、テラスケールの世界で、超対称性や余剰次元などの新しい物理が発見されると、電弱強統一が現実的になる可能性があります。LHC-ATLAS実験は7TeVの陽子と7TeVの陽子の衝突によって、宇宙初期時代を作り、テラスケールにおける新しい素粒子の発見を目指します。

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Last-modified: 2010-04-30 (金) 22:25:53 (2782d)