高エネルギー物理学/素粒子物理学とはなんだろうか?

The Particle Adventureから。現代的な原子・原子核・素粒子。アップクォークとダウンクォークから陽子・中性子が作られ、陽子と中性子から原子核が作られる。それぞれは内部で振動しており、電子が原子核の回りに存在する。

高エネルギー物理学/素粒子物理学は、究極の物質である素粒子とその相互作用を研究することによってこの世界をより良く理解しようとする学問で、もっとも精度良く(10桁の精度で予言できるものもあります!)いろいろなことが予言できる研究分野です。

自然界に存在するものは、元素の周期表を見ればわかるように100種類くらいの元素の組合せでできています。そしてその100種類の元素も、同じような性質を持ついくつかのグループに分けられます。なにかいくつかの根源的な素粒子があって、その組合せで元素ができていると考えると、元素が100種類くらいある理由や性質によってグループ分けできる理由も自然に理解できます。そのような考えから、元素を作っている陽子や中性子、電子を物理学者たちは発見しました。そして現在、わたしたちは電子やニュートリノなどのレプトンと呼ばれる素粒子と、陽子や中性子を作っているクォークと呼ばれる素粒子を発見したのです(陽子と中性子も実はそっくりなので、やはりより基本的な粒子から作られているだろうと考えられていました)。

図はThe Particle Adventureから、現代的な原子・原子核・素粒子を摸式的に描いたものです。アップクォークとダウンクォークから陽子・中性子が作られ、陽子と中性子から原子核が作られています。それぞれは内部で振動しており、電子が原子核の回りに存在しています。

そして、そのような素粒子の運動をつかさどり、素粒子の間にはたらく力の種類も、せいぜい素粒子の数よりは少ないと考えられます。実際私たちは、強い相互作用、電磁相互作用、弱い相互作用、重力相互作用の4つの相互作用(力)を発見しました。

こうして私たちはやっと、ギリシャの哲学者が思いついた、「いくつかの究極の素粒子と、その間のいくつかの究極の相互作用のみを理解すれば、この世の中のすべてのことが理解できるはずだ」という、現代科学を動かしてきた原動力となる思想の前提条件、つまりすべての素粒子の発見とその間の相互作用の完全な理解にたどり着きつつあります。

現在、この究極の目標を目指して世界中で行なわれている研究や実験は

などがあります。まだわかっていないことがたくさんあるのです。我々人類は究極の夢に向かってやっとスタートラインについたところです。

高エネルギー物理学・素粒子物理学の研究の方法は大きく分けて二つあります。一つは宇宙からやってくる高いエネルギーの素粒子を検出器でとらえる方法、もう一つは直径が数キロメートルもあるような巨大な加速器を用いて素粒子を高いエネルギーまで加速して、その反応を見る方法です。どちらにしても非常に高いエネルギー、温度にして1000000000000000度(数百GeV)くらいのエネルギーを、空間、つまり真空の非常に狭い領域、0.00000000000000000001 cm くらいの極微の真空に集中させます。これによってビッグバンのころの宇宙の状態を再現し、素粒子を生成し、またその性質を探ります。これが、素粒子物理学が高エネルギー物理学と呼ばれるゆえんなのです。

私たちの研究室では現在、つくばにある高エネルギー加速器研究機構のBファクトリーという巨大な加速器を使って、上で述べたCP非保存の研究を行なっています。これは宇宙生成の起源に迫る非常に重要な研究であり、現在世界でももっともホットな話題の一つでもあります。

更に、私たちの研究室では、2010年に本格的に実験を開始した欧州CERN原子核研究所でのLHC実験の研究を行っています。周長27Kmの巨大加速器により世界最高のエネルギー領域の中で引き起こされる素粒子現象を観測・探索することにより、上で述べた ヒッグス粒子の発見や、これまでの理論を覆すような新現象の発見を目指しています。

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