名古屋大学大学院 理学研究科附属「タウ・レプトン物理研究センター」は2008年10月より発足致しました。
名古屋大学の素粒子研究は、牧・坂田・中川理論、小林・益川理論、そして三田のBファクトリー提唱と、
レプトンとクォークのフレーバー物理の分野で先端的研究を展開してきました。そして、これら理論は、
本研究科の高エネルギー加速器実験グループが中心となり活躍するBファクトリー国際共同加速器実験(Belle)
でのタウ・レプトンやボトム・クォークの研究により精密検証され、フレーバー物理研究は名古屋大学の特徴的研究となっています。
特に、本学のタウ・レプトン物理研究は、1980年の設置以来、進化を続ける
名古屋大学・高エネルギー実験データ解析施設によって強力に展開されているもので、
それは未知の「新しい物理」現象探索の世界的最前線を構築し、新しい知見を発信し続けています。
そして今、さらに、2008年に欧州にてスタートする世界最高エネルギーLHC加速器実験での
ヒッグス粒子や超対称性粒子に代表される「新しい物理」の直接的検出をも射程対象とする段階にきました。
素粒子物理のこの革命期を目前にひかえ、研究の新展開を図り世界的成果を目指すために、
名古屋大学で国内外の二大国際共同実験(Belle、LHC)を効率的に推進し、
かつ理論と実験グループを有機的に連携組織することを目的として、
この「タウ・レプトン物理解析センター」を設置することになりました。
このセンターは国内外の研究者の研究結節点の役割を果たし、
さらに、大学と研究センター双方の利点を最大限に活かした国際的教育拠点を形成し、
中部圏への国際的最先端素粒子研究の発信の場としての位置づけを担うよう活躍を続けます。
以上のことを、効率良く推進するために、基幹部門として素粒子物理学の重要課題3部門、
①タウ・レプトン物理部門(KEKB-Belle実験でのタウ・レプトン、B中間子によるフレーバ物理研究)、
②LHC物理部門(LHC-ATLAS実験でのヒッグス粒子、超対称性粒子などの新粒子発見)、
③理論部門(最新の実験結果に基づいた、フレーバ物理の理解と究極な標準模型の構築)を設置しました。
本センターは、名古屋大学理学研究科の強力なバックアップのもと、素粒子研究を大きく進展させ、
学生を積極的に国際共同研究組織に投入することで国際的若手研究者の育成を行っていきます。
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