計画研究C01・平成23年度の研究の進捗と成果


(図1)スペクトロメータ磁石改造部品。ヨーク、磁極とコイル。 (図2) ブラインドビアホールを用いた低物質量二次元ストリップ読み出し基板の 顕微鏡写真と概念図。 表面におちた電荷の半分を アイランド電極・ブラインドビアホール経由で 裏面のY-stripに送り、Y座標として読み出す。

J-PARC 原子核素粒子実験施設において物理採択された実験E16のためのGEM電子検出器開発と、スペクトロメータ磁石改造部品の製作を行った。同実験の目的は、原子核中での中間子質量の系統的測定により、有限密度におけるカイラル対称性の回復について確証を得ることである。同実験について、およびGEM電子検出器開発状況について12件(うち招待講演4件) の国際会議・学会発表を行った。
GEM電子検出器開発状況については、前段:GEMトラッカー部、中段:HBD (ハドロンブラインド:GEMをもちいたガスチェレンコフ検出器)部、後段:鉛ガラスカロリメータ部の三段構成であり、前段/中段がガス電子増幅フォイル(GEM)を用いている。
GEMトラッカー部は、検出面積100mm角、200mm角、300mm角の3面のGEMチェンバーを持つ。各GEMチェンバーは、昨年度から今年度にかけて開発した50μm厚のカプトン製GEM3段で電子を増幅し、低物質量2次元ストリップ電極読み出し基板(基材カプトン25μm厚)で読み出しを行う。今年度のビームテストにおいては、ブラインドビアホールを用いた、100mm角二次元読み出し基板の動作を確認し、これを量産仕様とするべく200mm角への大型化試作を行った。また、トラッカー支持枠および小型プリアンプボード製作に着手した。
HBD部については、300mm角のLCP製GEMを2段用いて増幅する、検出面積600mm角の量産仕様一号機を完成した。大型多層読み出し基板の量産方式には改善の余地があることがわかった。

計画研究ページにもどる
Last updated 2014 Aug. 21st