タウ・レプトン物理研究センター セミナー・コロキウム

日時:2010年10月14日(木) 16時00分
場所:C5講義室

講師:北口雅暁(京都大学原子炉実験所)

題目:中性子を用いた基礎物理とJ-PARCでの展開

概要:
中性子は電荷を持たず、質量・スピン・磁気モーメントを持つ。低エネルギー中性子は重力・電磁気力・核力を同程度の極めて弱いポテンシャルとして感じるため、これらを制御した体系で様々な精密測定が可能になる。例えば中性子の電気双極子モーメントは時間反転対称性を破る量であるが、標準理論が与える値は10-30〜10-31e・cm ときわめて小さい。一方SUSYでは10-27〜10-28e・cmのオーダーでその存在を予言しており、現在の測定精度 10-26e・cm (90% C.L)はあと一歩のところに迫っている。中性子の電気双極子モーメントは標準理論を越えた物理の探索の強力な手段の一つである。また中性子寿命は宇宙初期の元素合成過程での軽元素比を決定するが、従来の値は宇宙観測から得られた元素比を再現できなかった。より高精度の測定が求められている。これらの精密測定では中性子の強度の増加、バックグラウンドの低減が系統的にも統計的にも極めて重要になる。それを達成するために様々な中性子制御技術が開発され、日本のグループはその重要な役割を果たしてきた。現在J-PARCの大強度陽子ビームを用いて発生させた中性子をこれら光学デバイスで制御し、より精密な測定を行おうと準備と実験が進められている。最新の開発と今後の計画についても発表したい。

名古屋大学 タウ・レプトン物理研究センター

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