RESEARCH
KEKB/Belle 実験
茨城県つくば市にある高エネルギー加速器研究機構のKEKB/Belle実験は、電子-陽電子衝突でB中間子と反B中間子を大量に生成し、粒子と反粒子の対称性の破れを検証することを目的として、1999年に開始されました。
「CP対称性の破れ」と呼ばれる粒子-反粒子の対称性の破れは、1964年に中性K中間子の崩壊で見つかった現象ですが、その破れの機構は長くわかっていませんでした。
1973年に、小林・益川両博士は、3世代6種類のクォークが存在すれば、対称性の破れが説明できることを理論的に示しました。
その後の実験によって、6種類のクォークは発見されましたが、CP対称性が小林-益川理論どおりに破れていることの確認には、第3世代(5番目)のボトム・クォークと反ボトム・クォークの反応を確かめる必要がありました。
この実験では、KEKB加速器による電子と陽電子の衝突で大量に生成されるB中間子(反ボトム・クォークとダウン・クォークでできた粒子)と反B中間子(ボトム・クォークと反ダウン・クォークでできた粒子)の崩壊の違いを精密に計測し、2001年に両者の崩壊でCP対称性の破れを発見することに成功、さらにその後のデータ解析により、この破れが小林-益川理論の説明に従っていることを確かめ、両氏の2008年ノーベル物理学賞につながる大きな成果をあげました。
参考:
N研ウェブページの解説