文部科学省 科学研究費補助金 新学術領域研究:多彩なフレーバーで探る新しいハドロン存在形態の包括的研究

計画研究A01・平成21年度の研究の進捗と成果


(図1)二光子衝突によるJ/ψ ω生成過程における不変質量分布。質量3915MeVの共鳴粒子が確認できる。 (図2)二光子衝突によるJ/ψ φ生成過程における不変質量分布。質量4350MeVの共鳴粒子が確認できる。

拠点の奈良女子大学に専用のデータ解析用計算サーバーを導入するとともに、KEKに大容量のファイルサーバー・ディスクシステムを増設した。これにより、これまでのエキゾチックハドロンの物理解析を継続発展させることができた。その結果、新たに二個のエキゾチックハドロンの候補となる共鳴粒子を発見するとともに、他の過程においても新たな知見が得られた。

  • 光子・光子衝突反応においてJ/ψ中間子とω中間子に崩壊する質量が3915 MeVで崩壊幅が17MeVの新共鳴粒子を発見した(図1)。この粒子は、B中間子の崩壊で発見されたJ/ψ中間子とω中間子に崩壊する共鳴粒子(質量は3940 MeVでやはりエキゾチックハドロン候補)と同一の粒子である可能性があり、今後の詳しい性質の研究に興味がある。
  • 光子・光子衝突反応においてJ/ψ中間子とφ中間子に崩壊する質量が4350MeVで崩壊幅が13MeVの新共鳴粒子を発見した(図2)。この共鳴粒子はチャーム・反チャームクォークとストレンジ・反ストレンジクォークの四つのクォークよりなるテトラクォークと呼ばれるエキゾチックハドロンの可能性が高い。
  • X(3872)粒子の性質の詳細な研究を行い、チャーム中間子・反チャーム中間子への崩壊の測定などの結果を得た。これはこれまでの測定の精度を向上するものである。また、始状態輻射光子を伴う電子・陽電子衝突反応においてチャーム粒子対とπ中間子に崩壊する新粒子探索などを行った。

計画研究ページにもどる
Copyright © 新学術領域研究「多彩なフレーバーで探る新しいハドロン存在形態の包括的研究」 All rights reserved.