文部科学省 科学研究費補助金 新学術領域研究:多彩なフレーバーで探る新しいハドロン存在形態の包括的研究

計画研究D01・平成21年度の研究の進捗と成果


(図1)エアロジェルRICH検出器ビームテストのセットアップ。 (図2)観測されたリング・イメージ。

本計画研究では、三実験プロジェクト(Bファクトリー実験、LEPS実験、KEK-E325/J-PARC-E16実験)に参画する研究者が協力し、将来の高輝度施設における実験に向けた測定器開発研究を強力に進めることを目的としている。平成21年度においては、特に、名古屋大学において独自開発を進めている次世代粒子識別装置である「TOP Counter」と「エアロジェルRICH」の高輝度Bファクトリー実験への実装に向けて、マイクロチャンネル内蔵型光電子増倍管(MCP-PMT)とハブリッド型光検出器(HAPD)の試作とその評価を進めた。MCP-PMTについては、実用上の最大の問題となっている寿命問題について、量子効率低下を引き起こす要因をつきとめ、その解決方法を確立することに成功した。また、HAPDについても、研究用原子炉を使用した中性子照射試験を繰り返し、放射線耐性を向上する方策を考案することができた。さらに、HAPDを実装したプロトタイプ検出器のビームテストを行い、エアロジェルRICH検出器が十分な性能(角度分解能14mrad、平均検出光子数約14)を有することを確かめた。これらの研究成果によって、「TOP Counter」と「エアロジェルRICH」の実用化を進めるうえでの最後の障壁を取り除き、MCP-PMT、HAPDを両検出器の光検出器として採用することとした。また、2009年11月に行われた領域研究会では、高輝度Bファクトリー実験に向けて開発が進んでいるCOPPERシステムを用いたデータ収集系を他の実験に応用する可能性を検討した。

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