名大MIRAI GSC事業 の一環で、2021年10月16日(土)から11月13日(土)に、柿崎有さん(愛知県立春日井高等学校)、小石原崇斗さん(東京都立両国高等学校)の受け入れを行いました。 Belle実験で取得したデータの解析により、最先端の素粒子物理学実験を学んでもらうとともに、講義、装置見学、大学院生との談話などを通じて、大学における教育や研究に触れてもらいました。
当初、高等学校の夏休み期間の受け入れを計画していましたが、新型コロナウイルスの第5波により断念しました。 陽性者が減ってきた10月に、対面とリモートを混じえて受け入れることを決め、対面で2日間、リモートで4日間、受け入れました。
対面での受け入れにおいては、研究の立ち上げや研究室の装置見学を行いました。 対面の利点を活かし、迅速に解析ソフトウェアROOTを用いる環境を構築し、特殊相対論の知識を駆使して二粒子の不変質量の分布を得ることができるようになりました。 装置見学においては、当研究室が立案から開発、運用までを手がけてきたBelle II実験の粒子識別装置の部品や、2025年に実装予定のATLAS実験の新型回路を見学しました。 リモートでの受け入れにおいては、ティーチングアシスタントと議論しながら研究を遂行するとともに、最先端の素粒子物理学に関する講義を受けてもらいました。
以下に、参加した高校生2名のコメントを載せます。
(柿崎有さん)
(小石原崇斗さん)
また、以下は、ティーチングアシスタントのコメントです。
(安達佑也さん)
最終的に、ラムダ粒子、グザイ粒子、D中間子などの粒子を発見し、粒子を構成するクォークの種類や崩壊分岐比の比率から、自然界に存在する4つの相互作用のうちの1つ「弱い相互作用」の特徴を見出すことができました。 本学出身で2008年にノーベル物理学賞を受賞した小林氏・益川氏の行列を用いて、世代をまたがるクォーク遷移についての説明に到達することができました。 ここまで到達できたのは、高校生2名の意欲の賜物であり、受け入れに関われた教員、ティーチングアシスタント一同、やりがいを感じることができました。
参加した高校生(前列)および教員・ティーチングアシスタント(後列)
本研究では、 新素粒子発見プログラム B-Lab を使用しました。 B-Labの使用にあたり手助けをしてくださった西田昌平さん(高エネルギー加速器研究機構)に、この場を借りて、お礼を申し上げます。
(執筆:堀井泰之)