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(図1)テストした 100mm角/200mm角/300mm角の GEM chamber。 |
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(図2)CsI光電面の量子効率。 緑が昨年度、赤が改善後。青はPHENIX実験(参考)。 |
J-PARC 原子核素粒子実験施設において物理採択された実験 E16 の
ためのGEM電子検出器開発を行った。同実験の目的は、原子核中での中間子質量の
系統的測定により、有限密度におけるカイラル対称性の回復について
確証を得ることである。同実験について、および
GEM電子検出器開発状況について、計11件(うち招待講演6件)の
国際会議・学会発表を行い、1本の査読つき論文を出した。
GEM電子検出器は 前段:GEMトラッカー部、中段:HBD(ハドロンブラインド:GEMをもちい たガスチェレンコフ検出器)部、後段:鉛ガラスカロリメータ部の三段構成であり、 前段/中段がガス電子増幅フォイル(GEM)を用いている。 GEMトラッカー部は、検出面積 100mm 角、 200mm 角、 300mm 角の3面のGEM チェンバーを持つ。各GEMチェンバーは 昨年度から本年度にかけて開発した 50μm厚のカプトン製GEM3枚で電子を増幅し、低物質量両面2次元ストリップ 電極読出基板(基材カプトン25μm厚)で読出しを行う。 本年度のビームテストにおいては、1気圧のArCO2(70:30)ガスと 350μmピッチの読み出しストリップを使用し、電荷情報とタイミング情報の 双方を利用することで、垂直(0度)入射での分解能80μm、15度入射で110μm、 30度では130μmを得た。この性能で、目標とする質量分解能5MeVは達成できる。 HBD部については、光電面であるCsIのGEMへの蒸着を浜松ホトニクスに 依頼する他、理研でも実施し、量子効率を改善するための蒸着パラメータ (膜厚、材料純度、蒸着時の温度および真空度など)の確認を行った。 改善された光電面を使用したビームテストでは、CF4ガスを発光体(長さ50cm)かつ 増幅ガスとして用い、 トラックあたりおよそ10光電子を得た。 量子効率のさらなる向上を試みている。 |
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