飯嶋徹教授、居波賢二准教授をはじめとする現N研のメンバーおよび卒業生が貢献した論文「The Imaging Time-of-Propagation Detector at Belle II」がNuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A 誌に掲載されました。
本研究では、SuperKEKB/Belle II 実験で使用されている、リングイメージング機能を持ったTime-of-Propagation(TOP)検出器の構築、運用、および性能について報告しました。この検出器はバレル領域に設置されており、チェレンコフ光を利用してハドロンの粒子識別を行います。チェレンコフ光は、石英輻射体内部で放射され、全反射によって輻射体両端まで伝搬します。一方の端にはマイクロチャンネルプレート型光電子増倍管(MCP-PMT)が設置されており、伝搬してきた光を検出します。もう一方の端には鏡面が取り付けられ、光子を反射させてMCP-PMT側に戻す構造になっています。チェレンコフ光子の伝搬時間および入射位置がチェレンコフ角に依存することを利用し、最大でおよそ 4 GeV/c までの運動量領域で、荷電π中間子・荷電K中間子・陽子の良好な識別性能を実現しました。これまでに、この検出器を用いて 約600 fb-1 の Belle II データを取得・解析しました。
論文情報:
H. Atmacan, et al., "The Imaging Time-of-Propagation Detector at Belle II"
[Nucl. Instrum. Methods Phys. Res. A, 1080, 170627 (2025). DOI:10.1016/j.nima.2025.170627]