文部科学省 科学研究費補助金 新学術領域研究:多彩なフレーバーで探る新しいハドロン存在形態の包括的研究

LEPS

計画研究 B01:異状な構造をもつバリオンの存在形態の解明

研究の目的

ペンタクォーク状態/メソン・バリオン分子的共鳴状態本研究は、最低5つの構成クォークからなるペンタクォークΘ+やメソン・バリオンの分子的共鳴状態が示唆されるΛ(1405)といったストレンジクォークを含むバリオンのエキゾチックな状態について生成から崩壊までを包括的に測定することにより、その属性(質量、幅、内部自由度)を明らかにする。従来にないエキゾチックな状態の存在形態を明らかにすることにより、単純なクォーク模型を超えたハドロン形成の新しい描像を得る。ハドロン内の構成クォークやクォーク・反クォーク及びクォーク・クォーク相関に対する理解を深め、クォークの閉じ込めとハドロンの質量獲得の機構解明への糸口をつかむ。

研究の方法と取り組む課題

SPring-8のレーザー電子光施設(LEPS)から供される偏極光子ビームやJ-PARCのハドロンビームを使って、エキゾチックバリオンの生成から崩壊までを一貫して包括的に測定してその属性を明らかにし、新しいハドロンの存在形態を確立する。生成されるハドロンの属性(内部自由度や形状)は、生成チャンネルや崩壊チャンネルとの結合の大きさに影響するので、それぞれに特有の内部自由度を持つ複数のビームを利用することはエキゾチックハドロンの属性を特定するのに非常に有効である。

本研究では、とくに以下の課題に取り組む。

  1. LEPS施設の光子ビームを用いたエキゾチックハドロン分光実験を推進する。
  2. 光子ビームの強度を増強し実験効率を向上させる。また、光子ビームのより高エネルギー化を図り、ハドロン生成チャンネルを広げ、スピン、アイソスピン、パリティの制御に対する自由度の拡大を狙う。
  3. 対象とするエキゾチックハドロンに関与する検出可能なすべての粒子についてできる限り全方位全運動量をカバーする大立体角ハドロン分光器システムを構築する。ブルックヘイブン国立研究所(BNL)からE949検出器を移送してシステムの建設に有効利用する。
  4. ビームと検出器の増強に対応するため高速データ収集システムを開発する。
  5. 開発した検出器システム等をJ-PARCに持ち込み、低エネルギーKビームを用いたΘ+やΛ(1405)の生成崩壊分光実験を展開する。
  6. 低エミッタンス、高偏極、大強度光子ビームを用いたLEPS2計画への展開を図る。

関連リンク:LEPS - Laser Electron Photon Experiment at SPring-8

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レーザー電子光ビームを用いたペンタクォークの研究 K中間子ビームを用いたペンタクォークの研究

研究の進捗状況と成果

平成21年度
平成22年度
平成23年度
平成24年度
平成25年度

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