本研究は、最低5つの構成クォークからなるペンタクォークΘ+やメソン・バリオンの分子的共鳴状態が示唆されるΛ(1405)といったストレンジクォークを含むバリオンのエキゾチックな状態について生成から崩壊までを包括的に測定することにより、その属性(質量、幅、内部自由度)を明らかにする。従来にないエキゾチックな状態の存在形態を明らかにすることにより、単純なクォーク模型を超えたハドロン形成の新しい描像を得る。ハドロン内の構成クォークやクォーク・反クォーク及びクォーク・クォーク相関に対する理解を深め、クォークの閉じ込めとハドロンの質量獲得の機構解明への糸口をつかむ。
SPring-8のレーザー電子光施設(LEPS)から供される偏極光子ビームやJ-PARCのハドロンビームを使って、エキゾチックバリオンの生成から崩壊までを一貫して包括的に測定してその属性を明らかにし、新しいハドロンの存在形態を確立する。生成されるハドロンの属性(内部自由度や形状)は、生成チャンネルや崩壊チャンネルとの結合の大きさに影響するので、それぞれに特有の内部自由度を持つ複数のビームを利用することはエキゾチックハドロンの属性を特定するのに非常に有効である。
本研究では、とくに以下の課題に取り組む。
関連リンク:LEPS - Laser Electron Photon Experiment at SPring-8