欧州原子核研究機構(CREN)で行われているLHC実験において2022年7月5日(火)にデータ取得用の安定したビーム運転が再開し、衝突エネルギー13.6 TeVにおけるデータ取得(Run3)が始まりました。 衝突エネルギー13.6 TeVは2018年までのデータ取得期間(Run2)での13 TeVをさらに超えるものです。 加速器実験のエネルギーフロンティアとして人類未踏の高エネルギービーム衝突から発生する物理事象を検出器で観測し、新物理発見を目指します。
このRun3のデータ取得は3年以上にわたる加速器側と実験側の双方のアップグレード作業を経て再開されました。 N研のスタッフや学生もLHC-ATLAS実験のコラボレーターの一員として、ミューオン検出器およびトリガーのメンテナンスやアップグレードなどで大きく貢献しました。
LHC加速器は今後も調整を続けながら運転を進め、LHC-ATLAS実験では最終的に現在取得されているデータ統計量の2倍以上の陽子衝突データの収集を目指しています。 N研メンバーは目標達成に向けて引き続きLHC-ATLAS実験のオペレーション等に携わっていきます。 世界最高エネルギーによって得られる物理データを用いた今後の解析結果にご期待下さい。
また、安定した13.6 TeVでのビーム初衝突時にはCERNでの様子がLive配信され、大いに盛り上がりました(アーカイブ・英語)。 詳しい内容についてはCRENの公式記事をご覧ください。
(博士後期課程3年 脇田萌)
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地下でミューオン検出器のアップグレード作業を行うN研の学生 |
Run3開始時のライブ配信(アーカイブ・英語)
(Video: CERN)