2024年7月22日から、KEK南実験準備棟にてATLAS実験で使用する前段回路量産機の品質保証試験を開始しました。
ATLAS実験では、2026年から2028年にトリガー・読み出しシステムの改良を行い、その後10年ほどで現在の20倍の物理データを取得する予定です。名古屋大学は、ATLAS日本グループの他の研究機関とともに、ミューオンを捉える検出器(TGC)のデータ収集の要を担う前段回路開発に携わっています。これまでに試作機・初期量産機の製作・動作検証の過程を経て運用性を示し、今年度より1,540枚の本量産の開始に至りました。本試験では自分たちで開発した前段回路の機能を検査する品質試験システムを駆使して、量産機の性能評価を行います。
試験システムが問題なく機能し、現在までに340枚の試験を完了しました。試験システムや結果の詳細は、9月に開かれた日本物理学会第79回年次大会で公表しました。発表内容はこちらのリンクからご覧いただけます。来年3月までに全量産機1540枚の品質保証試験を完了させ、その後欧州原子核研究機構(CERN)に輸送します。